理科の達人先生 海外視察レポート
   
 

7月31日(土)帰国

無事、東京に帰ってきました!
帰りは飛行機を4回乗り継ぎ、やっと成田空港に到着した達人先生たちの顔には、疲れと共に日本に無事帰ってきたことへの安堵感が笑顔となってこぼれていました。それぞれ先生たちはどんな1週間だったのでしょうか。

読売新聞社賞
東京都品川区立小中一貫校伊藤学園教諭 坂内温実

「1週間はあっという間で、有意義な時間でした。
どこの国の方も親切に出迎えてくれて、色々準備してくださっていたことに感激しました。実際に施設を見学してみて、事前に調べていったことが、同じだったり違うことがあったりと色々だったので、とても勉強になりました。」

科学技術振興機構理事長賞
大阪教育大学附属天王寺中学校教諭 廣瀬明浩

「良い勉強をさせて頂きました。また教育現場で反映できるように、しっかり考えていきたいと思います。最後のフィンランド・オルキルオトの処理場が、地質的にも面白かったです。あんなミグマタイトは日本では見れない!
前回行った時は、理科教育との接点は殆どなかった。今回は少し現場の様子がわかった。まだまだ知りたいことが沢山あります。」
※ミグマタイト:既存の岩石とマグマとが混じり合って生成した岩石(広辞苑より)

宇宙航空研究開発機構理事長賞
東京都新宿区立新宿中学校主幹 小林輝明

「とても充実した毎日でした。デンマークが一番印象に残っております。その国の特徴がすごくよく出ていた。この視察を経験して、新たに日本の良さを確認して、もっと伸ばしていくことに貢献していけるよう頑張ります。
今回の3カ国共通して、自分の国に対する思いが強いと実感しました。その国の特徴・良さを引き出しているのは、人であり、そういう人達に会ってきたので、とても印象に残っています。」

初等中等教育局長賞
東京都練馬区立豊玉中学校校長 高畠勇二

「時間の流れ方に非常にショックを受けましたね。『幸せ度』とか『満足感』とか、そんなところでの違いを感じて、自分でも考え直したいと思うことがありました。単に教育だけで、なんとかしようということじゃないところに・・・色々考えさせられました。とても良い経験でした。やはり私達は学びに行っているから、もっと感じて充実した濃密な時間であったと思います。本当に関係者の皆様に感謝しております。」

文部科学大臣賞
東京都葛飾区立亀有中学校校長 瀬田栄司

「瞬く間に1週間がすぎて行きました。国によって生活スタイル、仕事の仕方が違う。共通点は自国に対して一生懸命。各国の状況が違う。最終的には自分達はどうするんだ!という気持ちがある。とても勉強になりました。
今後、日本の理科教育をこれからどうしていきたいか。それぞれのプランを集約して、また発表する機会・場でお伝えしていきたいと思っております。」

(事務局・松尾)

 
 
 
 

7月30日(金)フィンランド2日目


ラウマ(フィンランド)

前日の29日午後、フィンランド・ヘルシンキより西に約180km、国内線旅客機で1時間のところにある「トゥルク」という町へ移動し、さらに車で、約100kmのところにある「ラウマ」町に宿泊しました。ここは夏至の頃、夜中2時に北の空に日が沈み、北の空から日が昇る白夜に近い現象が見られる町です。

 


オルキルオト

翌朝、30日朝8時、さらに車で30分のオルキルオト島にある放射性廃棄物処理場を理科の達人先生5名は、日本原子力研究開発機構の川越さんの案内で訪ねました。
海岸線沿いには、電力会社:テオリスーデン・ヴォイマ社(TVO社)と、高レベル放射性廃棄物の処分事業を受け持つ、ポシヴァ社(POSIVA社)があり、稼動中の原子炉2基、建設中が1基存在しています。

 


中低レベル放射性廃棄物処分場

今回、案内してくれたのはTVO社のMr. Tanhuanpaa(タンファンパ)さんで、建設中の原子炉EPR 【欧州型加圧水型炉】と、地下深さ約60メートルの中低レベル放射性廃棄物処分場のトンネルの一部を見学することが出来ました。

 

 


中低レベル放射性廃棄物処分場のトンネル

中低レベル放射性廃棄物処分場のトンネル

フィンランドの殆どの地質は、花崗岩(Granite)で出来ており、日本の地質に比べると、はるかに古い地質と言われています。放射性廃棄物の最終廃棄処分場建設の基準として、地質と地下水の流れの問題があり、オルキルオトには、その条件が揃っているということです。フィンランドは、日本と違い、使用済み燃料を再処理せずに廃棄処分します。そして地質調査、技術において、独自の技術開発が行われており、国民の信頼のもと政策として、最終廃棄処分場の建設が、順調に進められています。

(事務局・松尾)

 
 
 
 

7月29日(木)フィンランド1日目


サイエンスセンター「ヘウレカ」

サイエンスセンター「ヘウレカ」にて

サイエンスセンター「ヘウレカ」の展示

フィンランドの1日目は、首都ヘルシンキにあるサイエンスセンター【HEUREKA(ヘウレカ)】を訪問。当館のエリナ・ヴェサネンさんらスタッフが日本から来た理科の達人先生5人を迎えてくれました。

サイエンスセンター「ヘウレカ」では、学校の各学年などに合わせた教育プログラムを組んでおり、そのプログラムの内容や実験などを紹介してくれました。
フィンランドの教育の大きな特徴は、PISA(OECD生徒の学習到達度調査)で世界的に上位を占める成績の成果に導いた教育システムと、最先端をゆくデジタル教材の活用ということです。
話が進むにつれて、日本の子供達に対する悩みや子供達の傾向について共通点があるなどが分かり、このような問題点について達人先生たちは、サイエンスセンターの方々と様々な意見交換をすることが出来ました。

その後、サイエンスセンターの展示館内を見学。夏休みということもあり、多くの親子連れの姿を見ることができた。

(事務局・松尾)

 
 
 
 

7月28日(水)デンマーク


コペンハーゲン市内で
多くみかける自転車に乗る市民

昨夜にフランス・パリを発ち、デンマークの首都、コペンハーゲンに到着。
コペンハーゲンは、2009年12月のCOP15開催地として記憶に新しく、ヨーロッパでも最新の環境・エネルギー技術開発に取り組み、国民の環境に対する意識が高いことで知られています。

 

 


ロラン島

早朝、コペンハーゲンから南に160kmに位置する、ロラン島へ出発。ロラン島では、風力発電の余剰電力を使い、電気分解で生成した水素をタンクに貯蔵し、パイプラインで家庭に供給しています。次世代のエネルギー循環型のシステム(スマートグリッド)への展開に向けた最新の取り組みが行われており、世界から多くの人が訪問し、注目を集めています。

 


電気分解で水素生成する
システムと水素貯蔵

この取り組みを行うSEAS-NVE社(デンマークの電力会社)のプロジェクトリーダーである、イェンス・ヤコブセン氏による説明を受けました。またロラン島では、バイオマスや波力発電による再生可能エネルギーへの取り組みが行われています。このように、以前、火力発電によるエネルギーを主に造船業が盛んだったこの島は、EU統合によるエネルギーの市場拡大を見据え、見事、再生可能エネルギーに方向転換しています。

 


水素生成するシステムを見学する

達人先生方は燃料電池の仕組みや水素貯留施設を見学。燃料電池を専門とする小林輝明先生は、学校の授業で手作りの燃料電池を使って授業を行っているエキスパート。デンマークの再生可能エネルギーに対する考えや実際の取り組みなどに興味津々でした。

 

 


説明を受ける先生たち

また首都、コペンハーゲンに戻り、エネルギー庁・風力発電協会を訪問。先生達は実際見てきた取り組みがどのように実現化・具体化していったのか、またその将来性についてお話を伺いました。デンマークはエネルギー資源の問題や環境対策により火力発電を減少。原子力エネルギーを選択せず、再生可能エネルギーの取り組みを進めたデンマーク市民の意識の高さに、教育分野でも大きく反映されていることに先生達は驚かされていました。

(事務局・松尾)


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7月27日(火)フランス2日目


フランス原子力庁のベルナール・フロアス氏を訪問

海外研修2日目は、フランス原子力庁(略称CEA)のベルナール・フロアス氏を訪問しました。フロアス氏が、今年6月末に来日した際に、理科の達人先生は、フランスのエネルギー政策に関する事前研修を受けることが出来ました。
それで、今回の訪問は、更なる考察が可能となる有意義なものになりました。

フロアス氏の訪問の際に、原子力庁の広報部のMs.ナタリー・ギヨームさんから、フランスのエネルギー教育の中で原子力庁が行う、原子力エネルギーの正しい知識と理解へのアプローチ活動内容について説明を受けました。その内容は、小中学校の児童生徒ばかりでなく、教員向けの原子力庁活動となっていました。


フロアス氏との昼食会


その後、フロアス氏に招待された昼食会では、本場のフランス料理を囲んで達人先生方との和やかなひとときを満喫しました。食事の時間を贅沢に過ごす、フランス流の最上級のおもてなしを受けました。

 

 


フランス国民教育省にて

午後は、フランス国民教育省を訪問しました。長期的にエネルギーとどのように取り組んでいくかについて、政府、民間企業が協力しマニュアルを作成している話を伺いました。国民教育省持続可能開発担当高官のMr.バランタン氏は「教育省の役割として、次世代の子供達が今後、どのようなエネルギーが必要になってくるのか、エネルギー資源について考え、教員や子供達に正しい情報を伝える事である」と語リました。達人先生たちからは、日本の理科教育の現場と比較し、両国間のエネルギー教育に対する双方の対策の違いについて、様々な意見交換が行われました。

 


ラ・ヴィレット科学館にて

その後、フランス最大規模の科学館として知られている「ラ・ヴィレット科学館」を見学しました。今は、夏休み期間であるため、子供から大人たちまでたくさんの人々が訪れていました。館内の展示をすべて見学するには、一日かかるほどの大きさです。なかでも、宇宙航空関連や環境・エネルギーに関する展示物は、わかりやすく見て触れて楽しむものとなっており、先生たちはスケールの大きさに感嘆した様子でした。

その日の夜は、明日から視察訪問国で、北欧の国のひとつ、デンマーク・コペンハーゲンへ移動しました。先生方は疲れた体をゆっくり休めることができたでしょうか。

(事務局・松尾)

 
 
 
 

7月26日(月)フランス1日目


ビジアトムでの視察団

パリ・リヨン駅からフランス高速列車TGVに乗って南へ約700km。フランス南部のAvignon(アヴィニョン)駅で下車し、そこから今度は、車で30分のマルクールにある原子力とその将来に関する展示情報館「ビジアトム」を訪問しました。
「ビジアトム」は、フランス政府機関であるフランス原子力庁(略称CEA)がPR展示館として2005年4月にオープンしました。

 

ここは「生きた展示館」をテーマに、核廃棄物とその将来に関する質問に対して、公共の質疑応答の討議形式で造られているのが特徴です。

館内の展示物は、核開発に関する争点、具現化、技術及び研究について、明確に述べていました。原子力をできるだけ分かりやすく説明する展示物の他、原子力庁の研究内容やエネルギー・環境問題などに関する展示を行っています。

入り口にある、家庭で出る廃棄物を積み上げたディスプレイが特徴的で、展示物は、すべて鮮やかな色使いで、子供から大人までの興味を引くようになっていました。
フランス人が家庭で出す廃棄物(ゴミ)から放射性廃棄物へとつなげていました。身の周り放射線とはどのようなものかをわかりやすく説明することはもちろん、ワークショップも開催しているということです。その他にも、視聴覚室、メディアスペース、教育スペースなどがあり、原子力をエネルギーと捉え教育する姿勢が根付いていました。

電力会社をはじめ、国の政策として、原子力を教育に力を入れていることを達人先生達は肌で感じることが出来ました。

(事務局・松尾)


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7月25日(日)出発の日


成田空港出発前の視察団
第1回「理科の達人先生」に選ばれた5名の中学校で理科を教える先生達が、欧州の環境・エネルギー教育をはじめ、理科教育の現場視察を目的とした「海外視察」のため、2010年7月25日、ヨーロッパ3カ国(フランス・デンマーク・フィンランド)に向け、日本・成田を出発しました。

これは、「理科の達人先生」として、文部科学大臣賞、宇宙航空研究開発機構理事長賞、科学技術振興機構理事長賞などの表彰の副賞として与えられたものです。

「理科の達人先生」文部科学大臣表彰について
http://rika.netj.or.jp/news_topics/info01_041210.html

理科の達人先生5名は、朝9時半に成田空港に集合。海外旅行好きなのになかなか夏休みも十分にとれなかった坂内温実先生や、先月パスポートを申請したばかりの小林輝明先生など、各先生たちの視察への思いは様々です。

出発までの1ヶ月間、団長である瀬田栄司先生を中心に、事前準備を行ってきました。帰国後、先生方が各学校・地域に戻って、みなさんに素晴らしい視察の報告が出来るよう、それぞれの思いを胸に旅立ちました。
又、研修中の中間報告は、こちらのページに掲載致します。

(事務局・松尾)